某最難関校の模試PDFを、チャッピーに解かせてみた。
まずは算数である。
問題を解くだけなら、もう珍しくない。
ただし、図形問題を文章で説明されても困る。
補助線がどこに引かれたのか。
どの三角形を見ているのか。
人間は、そこまで想像力豊かではない。
そこで頼んだ。
「解答用紙の図形に、必要な線も書き込んで」
すると、解答用紙を全部埋めてきた。
計算問題も。
記述問題も。
作図も。
しかも、解答欄からはみ出さない。
頼んだのは補助線である。
就職初日に、勝手に部署全体の業務改善を提案する新人みたいなものである。
だが、完成品を見ると、悪くなかった。
子どもの答案とも、同じ場所を指しながら話せる。
そこで少し褒めた。
「すごいね。PDFに直接書き込めるようになったんだ」
すると、調子に乗った。
理科も埋めた。
国語も埋めた。
社会も埋めた。
AIというものは、褒めると伸びるらしい。
そこまで人間のマネをしなくてもいいのに……。
もっとも、この答案を子どもに見せるつもりはない。
答えを写すためのものではないからだ。
目的は比較である。
同じ問題を、AIはどう読んだのか。
子どもはどこで迷ったのか。
答えが違っても、途中までは同じだったのか。
逆に正解していても、考え方は危なかったのか。
AIに最難関模試を解かせて、「すごい」で終わるなら、ただの見世物である。
家庭学習は、その後に始まる。
子どもの答案とAIの答案を並べる。
違うところを探す。
どちらが正しいかを考える。
答え合わせというより、答えを材料にした討論である。
どうせ採点結果と比較するだけなのに、チャッピーは全科目の解答を答案用紙に埋めてきた。
頼んでいないところまで作り込む。
そして結構な確率で、こういうことを織り込む。
解答欄からはみ出す。
記号の順番を間違える。
AIには、そういう危険がある。
図形だけを書き込めばよかったのに、全科目を埋めたことで確認工数まで増やした。
そこに間違いがあれば、それこそ「蛇足」である。
さて、午後から子どもの答案と比較する。
公式解答は、まだ見せていない。
チャッピーが間違っているのか。
子どもが間違っているのか。
チャッピーの親切は「賞賛」か「蛇足」か。
それを確かめる。
たぶん今日いちばん勉強になるのは、間違えた本人ではなく、横で見ている父親である。


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