若さに給料を払う時代は、AIロボット時代の始まりでもある

思考・構造

新卒の給料が上がっている。

それは、若者の「勢い」や「生きの良さ」にお金を払っている、という話ではないと思う。

企業が見ているのは、もっと現実的なものだ。
これから何十年も、その会社を支えていく人材。
つまり、未来の会社を存続させるためのリソースとして、若い世代に投資している。

ただし、その未来の会社は、今の会社とはかなり違うかもしれない。

ChatGPTから始まったAIブームは、1990年代のインターネット普及よりも速く、しかも深く、仕事の中に入り込んでいる。文章を書く、調べる、まとめる、考える。そうした頭脳労働の一部は、すでにAIが支え始めている。

そして次に来るのは、体を使う仕事だと思う。

工場、物流、清掃、介護、建設。
いわゆる現場仕事にも、フィジカルAIやAIロボットが入ってくる。

昔は、高卒で工場に入り、夜勤や残業の手当で収入を増やし、そのお金を車やバイクに使うような働き方があった。もちろん、今でもそういう道は残っている。

しかし、2030年前後から先は、その前提も少しずつ崩れていくのではないか。

たとえば、今は20人で回している作業チームが、将来は5人の工員と15台のロボットになるかもしれない。これは極端な話というより、むしろ控えめな想像かもしれない。

そうなると、人間に求められる役割は変わる。

ただ作業する人ではなく、ロボットを動かす人。
異常に気づく人。
工程全体を見て、改善できる人。
現場を知りながら、工場運営に近い視点を持つ人。

これは、今なら班長や係長、生産技術の人が担っているような仕事に近い。

さすがに、それを入社1年目がすぐにできるとは思えない。
だからといって、高卒がだめになるという話でもない。

問題は、学歴ではない。

高卒でも、大卒でも、ただの労働力として会社に入るだけでは厳しくなる、という話だ。

AIロボットが働ける現場では、人間はAIロボットと同じ土俵に立たされる。深夜手当や残業代で収入を増やす働き方も、ロボットが夜通し動けるなら、以前ほど強い武器にはならない。

人間の雇用がゼロになるとは思わない。
会社も社会も、人間でできている。

けれど、人間に残る仕事は、より上流に寄っていく。

作業する力より、作業を組み立てる力。
指示を待つ力より、異常を見つけて直す力。
決められた手順を守る力より、AIやロボットを含めて工程を設計する力。

新卒給与アップは、若者への投資である。

しかし、その投資先の未来は、AIロボットと一緒に働く社会だ。

若いというだけでは足りない。
まじめに働くだけでも足りない。

これから問われるのは、AIやロボットを使って、仕事そのものを組み替えられるかどうかだと思う。

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