新卒給与アップで、本当に苦しくなるのは誰か

思考・構造

新卒の給料が上がっている。

これは悪い話ではない。物価も上がり、人手不足も深刻だ。若い人に、いつまでも安い給料で我慢しろという時代ではない。

ただし、企業の人件費は無限ではない。

新卒の給料を上げる。
20代の給料も上げる。
では、30代、40代、50代の給料も同じように上げ続けられるのか。

おそらく、そう簡単ではない。

給料を直接下げるのは難しい。だから、昇給幅を小さくする。賞与で調整する。手当を見直す。昇格を絞る。そういう形で、見えにくい調整が進むのではないか。

このとき、一番割を食うのは、30代後半から40代だと思う。

50代は、ある程度逃げ切れる。すでに高い賃金カーブの恩恵を受けてきた人も多い。

一方で、30代後半から40代は、若いころに高い初任給をもらっていない。「若いうちは安いが、あとで報われる」という約束の中で働いてきた世代だ。

ところが、その「あとで報われる」が怪しくなっている。

若手には採用のためにお金を払う。
50代以上の給与はすぐには崩せない。
その間にいる中堅世代の賃金カーブが、じわじわ圧縮される。

これは若者批判ではない。
若者の給料は上がるべきだと思う。

ただ、新卒給与アップは、単なる明るいニュースではない。日本型の賃金カーブが崩れ始めたサインでもある。

会社に長くいれば、いつか報われる。

その前提は、もうかなり危ういのかもしれない。

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