AIを中学受験に入れたら、親は楽になる。
最初は、そう思っていた。
算数を解いてくれる。
国語を一緒に読んでくれる。
理科や社会の知識も確認できる。
採点もできる。
間違いも整理できる。
家庭教師が一人増えるようなものだと思っていた。
半分は当たっていた。
ただし、もう半分が違った。
AIを入れたら、親の「教える仕事」は減った。
その代わり、親の役割そのものは増えた。
最初は、四谷大塚の組分けだった
本格的にAIを中学受験へ入れた最初の頃は、四谷大塚の組分けテストだった。
2026年3月の組分け国語。
それまで家庭でやっていた「国語研究会」に、親の代わりとしてAIを入れてみた。
すると面白いことが起きた。
子どもが間違えてAIが正解する問題がある。
逆に、AIが間違えて子どもが正解する問題もある。
同じ国語を解いているのに、間違え方が違った。
ここで最初に気づいた。
AIは、親の代わりではない。
比較対象が一人増えたのである。
次は、週テストに毎週入ってきた
組分けだけならイベントである。
次は、毎週ある週テストだった。
四谷大塚には、
- 問題
- 公式解答・解説
- 子どもの答案
- 週報
がある。
これをご丁寧に毎回PDFにしてくれるのだ。
そして週報には正答率が載っている。
同じバツでも、
正答率80%の問題を落としたのか。
正答率5%の問題に挑んで届かなかったのか。
意味はまったく違う。
そこでChatGPTに、問題、公式解答、答案、週報をまとめて渡すようになった。
週テストを受ける。
答案を見る。
週報で正答率を見る。
何を復習するか決める。
やらない問題も決める。
ここまで来ると、AIは「答えを教える家庭教師」ではなくなった。
復習会議に参加する分析担当になった。
→ 中学受験のテスト復習をChatGPTで回す方法|必要な4つのPDF
そして、親の仕事も変わった。
以前なら、
「この問題を教えられるか」
だった。
AI導入後は、
「この問題は、そもそも今やるべきか」
になった。
教える前に、選ぶ仕事が増えた。
算数はかなり任せられると分かった
四谷大塚の合不合判定テスト算数もChatGPTに入れた。
最初は方程式を使った。
中学受験なので、それでは困る。
「方程式禁止」
と伝える。
すると、割合、面積比、規則性といった中学受験らしい解法へ寄ってきた。
これはかなり助かった。
算数の難問を、その場で親が全部解く必要はなくなった。
→ 合不合判定テストの算数PDFは激甘だった|ChatGPTで復習が変わる
親は楽になった。
と思った。
ところが、別の仕事が増えた。
その解き方を子どもに見せていいのか。
小学生の解法になっているか。
答えは正しいのか。
そもそも、この問題に時間を使う価値があるのか。
AIが解けるようになるほど、
親は「解答者」から「編集者」になった。
国語では、とうとう入力方法まで親の仕事になった
算数、理科、社会は比較的うまくいった。
国語は違った。
縦書き。
ルビ。
傍線。
ページをまたぐ本文。
ChatGPTは、ときどき本文を落とした。
しかも困るのは、
読めていないのに、読めた顔をする。
ことである。
そこで、ChatGPTに全部任せるのをやめた。
VSCodeとCodexでPDFを処理する。
辞書を作ってAIが読める形に整える。
その上でChatGPTに考えさせる。
→ ChatGPTだけで国語PDFを読ませたかった。でも、必要だったのは“読ませ方の設計”だった
GPT-5.6でも再確認した。
やはり、国語PDFの入口を完全に任せるところまではいかなかった。
→ ChatGPT 5.6は中学受験の国語PDFを正確に読めるのか?実際に検証
家庭教師を入れたはずだった。
いつの間にか親は、
家庭教師が読める教材を作る係
になっていた。
AIが子どもに勝っても、続けるかは親が決める
週テスト国語では、AIと子どもの答案を比較した時期もあった。
勝ったり負けたりだが、やはりAIの方が強い傾向が見えた。
勝てるまで毎週比較すればいい。
とはならなかった。
AIとの勝ち負けが、学習に意味を持つ間はいい。
意味がなくなったら止める。
比較で得られる情報より、子どもへの影響の方が大きいなら止める。
これはAIには決められない。
AIを入れて親の役割が増えた、と感じたのはこの辺りからである。
何をやらせるか。
何をやらせないか。
どこまで比較するか。
どこで止めるか。
AIが賢くなっても、この判断は消えなかった。
そして、週テストから開成・灘・筑駒へ
春までは、四谷大塚の週テストや組分け、合不合が中心だった。
夏になると、対象が過去問へ移った。
開成。
灘。
筑駒。
さらに、出来心で桜蔭、雙葉、女子学院までやった。
学校が変わると、同じ子どもでも見え方が変わる。
開成は取れる。
桜蔭と雙葉も、まぁ取れる。
ところが女子学院算数だけ、3年連続で4割前後だった。
ここでまた、親の仕事が増えた。
「間違えたから復習」では足りない。
なぜ開成では取れて、女子学院では止まるのか。
学校別に比較する必要が出てきた。
→ 開成は解けるのに女子学院で止まる|3年分の過去問で見えた算数の弱点
そして今は、女子学院算数20年分を原因解析と効果確認に使うことにした。
過去問の無駄遣いとも言える。
受験しない学校だからできる。
過去問を「練習問題」ではなく「実験データ」として使う。
→ 開成は取れる、桜蔭と雙葉もまぁOK。女子学院算数は3年連続4割。ここから反転攻勢
ここまで来ると、もう家庭教師の話ではない。
AIが入って、親は何になったのか
AI導入前の親の仕事は、比較的わかりやすかった。
問題を見る。
分からなければ教える。
丸付けする。
復習させる。
AIを入れると、その一部はかなり外注できる。
算数を解く。
理科や社会を確認する。
国語の答案を比較する。
週テストの正答率を整理する。
開成や灘の過去問を分析する。
ここだけ見れば、親は楽になる。
実際、楽になった部分も大きい。
でも、空いた場所に別の仕事が入ってきた。
- 四谷大塚の週報まで含めて、何をAIへ渡すか
- 組分けや合不合の結果から、何を直すか
- 正答率の低い問題を捨てるか
- 開成、灘、筑駒のどの年度を次に使うか
- 桜蔭、雙葉、女子学院との違いをどう読むか
- AIの採点を信用するか
- 国語PDFをどう読ませるか
- AIと子どもの比較を続けるか
- 今日は何をやらないか
つまり、
親は家庭教師から、学習システムのオペレーターになった。
たぶん、これが今のところ一番近い。
「AI家庭教師を作れば終わり」ではなかった
AI家庭教師を作ること自体は、もうそれほど難しくない。
「答えをすぐ教えない」
「ヒントを一つずつ出す」
「子どもに考えさせる」
そういう設定はできる。
でも、中学受験で本当に難しかったのは、その先だった。
今日は何をやらせるのか。
どの失敗を直すのか。
何を捨てるのか。
いつ止めるのか。
そして、
次にどんなデータを取りに行くのか。
AIを中学受験に入れたら、
親が問題を解く時間は減った。
採点する時間も減った。
調べる時間も減った。
それでも、
親の役割はむしろ増えた。
AIができることが増えるほど、
人間は「何をさせるか」を決めなければならない。
仕事にAIを入れたときと、よく似ている。
便利になった。
だから、人間が不要になった。
そうはいくか、である。
便利になったからこそ、人間が決める範囲が見えるようになった。
中学受験でも、同じだった。
仕事編はこちら。

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